超音波洗浄ガイド
洗浄は図1のように化学的力・物理的力・温度の3要素をうまく組み合わせることにより、洗浄効果が最大に発揮でき【品質向上】【洗浄時間短縮】【生産効率向上】がはかれます。
ここでは物理的洗浄力の低周波超音波洗浄に焦点を当てて説明します。
超音波洗浄の原理
超音波洗浄は一般的にキャビテーション、直進流、加速度が被洗浄物に作用して洗浄できると考えられています。
その中でも低周波超音波ではキャビテーションによる洗浄効果が最も大きいので、そのキャビテーションについて単一周波方式超音波を例に説明します。
キャビテーションとは
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液中に超音波を照射すると、液の水圧(音圧)が変化します。
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この音圧が静圧より大きくなり、音圧が負になったとき膨張力が働き、洗浄液がちぎれて洗浄液中に溶けている気体が核となってほとんど真空の空洞(Cavity・キャビティー)ができます。
この現象を空洞現象(cavitation・キャビテーション)と呼びます。
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空洞は音圧の正圧・負圧が交互に繰り返されることにより次第に大きく成長し、ついには正圧の圧縮力に耐えられなくなり瞬時に押しつぶされて消滅しますが、この時に液分子がぶつかり合って大きな衝撃力を発生します。
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この衝撃力により被洗浄物に付着している汚れやゴミが剥離されて洗浄が行えます。
洗浄用途による低周波超音波発振方式の選定
発振方式・周波数の違いにより、キャビテーションの強さが違います。
被洗浄物の材質・汚れの種類により発振方式・周波数を選択してください。
各発振方式の特長
26kHz 単一周波方式
液深方向の音圧むらが多いものの、発生するキャビテーションが非常に強いため、主に鉄系金属洗浄に適しています。
36kHzスイープ方式
液深方向の音圧むらが少なく、アルミ系金属やガラス・セラミックスなどの均一洗浄に適しています。
発振方式・周波数の違いによるアルミホイルのエロージョン発生状況
上の写真は、超音波のキャビテーションにより、アルミホイルに穴が開いた状況です。
穴が開いた部分は音圧が高く、キャビテーションが多く発生していることを表しています。
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上の写真は当社の特定条件で取得したデータであり、お客様の使用環境で、アルミホイルのエロージョン実験を行っても、その結果が上の写真と同じようなデータになるとは限りませんのでご注意ください。
26kHz単一周波で1/2波長(約30mm)以上の上下搖動を行いながら洗浄すると、強力でムラのない均一な洗浄ができます。
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